2016年4月25日月曜日

数年間おつきあいをしてきた患者さんが亡くなりました。いつも思うこと。

がんなどの病気と付き合いながら生きていると、死を近くに感じるようになります。でも本当は、がん患者さんもそうでない人も、その日に死ぬ確率は50%ずつです。死ぬ/死なない、の2つに1つ。

今のところ、私たちは全員死にます。
生まれた時からゆっくりと死に向かって生きています。残りの人生が、その人らしく生き抜けられるように、私たちの会社は日々お客さまに向き合っています。

ごまかさないし、大していいことも言えません。本当に困っている時に欲しいのは、ほんわかした抽象的な優しい言葉よりも、きっちりと役に立つ具体策です。

お困りですね、という言葉の次に、これでカバーできますよ、という商品やサービスが必要です。時々、残念ながら役に立てないこともあります。できないこともあります。
そんな時には、そのかわりの代替策を提案しています。なんとかしたいと考え、いろんな策を提案します。しかし、本人になりかわって私たちがやりぬく事はできません。やるのは、最後はご本人です。

私たちの会社は、髪の毛がない時期に、暮らしやすくなるようなウィッグを作っていますが、それを上手に使いこなしてもらえるかどうかは本人次第です。最後は、ご本人の勇気と工夫です。

死にゆく人に、残された時間をその人らしく生きるために必要ならば、ウィッグも帽子も提案します。ご本人は、それをつかいこなして、その人らしい人生を生き切る。

残された周りの人も、私たちも、その人が亡くなるのはとても悲しいです。それでも、その人の思い出とともに、もう少し生きていきます。やりきった、という思いを持って。

人は死にます。死からは逃げられません。そして、死にゆく過程で多くの人は病気とつきあう時間があります。
病気と付き合う時間もその人らしく生きられるように、医療の範囲にある生活支援は、もっと地域でビジネス化できます。そうすると、困ったときに必要なサービスを買って使えるようになります。それらのサービスが、美容室に行く、バスに乗る、スーパーで買物をする、このくらいの日常感で使えるサービスで身近にあれば、もっと暮らしやすくなるはずです。

大変だったけど、最期まであの人らしかったよね。これが最高の別れだと思っています。