2015年11月29日日曜日

どこの地方にも同じように日常が流れている。インバウンドだろうが札幌は札幌。

中部国際空港から飛行機でわずか1時間50分飛ぶと、そこは雪国でした。
札幌の連携先に行き、札幌話に花を咲かせてきました。

抗がん剤治療と地域ネットワーク支援の話が本業ですが、そのまわりの雑談で盛り上がりました。


・大通公園がライトアップされてドイツフェスが始まるともうじきクリスマス

大通公園にたくさんの小屋が並んで、ドイツとその周辺国のショップがたくさん出ています。店員さんもほとんど北欧の方でした。


・時計台の地味さが保たれるか


時計台は実際に見ると渋いと言われている。その通りで本当に渋い。中国の観光客の方向けにもとデコる日が来るのかと思うと心配。


・札幌の財政難


雪が降っても財政難のため、歩道に埋め込まれている雪を溶かす電熱線にスイッチを入れてくれない。そのため歩道に雪が溜まっていく。

どの地方でも同じように日常生活は続いていて、メディアで語られるような情報とは少し違う、地方の安定した暮らしや文化は当たり前にそこにあります。トマムリゾートを中国企業が買収したとか、水源を買っているとか、インバウンドで観光客大増加などといった情報とは全く違う次元で、その地域の生活は成立しています。

医療と生きるすべての人へ、というピアのテーマにある通り、私たちは地域で暮らす医療を提供する側(医療者)・提供される側(患者さんとその周りの家族)双方へのサービスを提供しています。みなさんは生活者です。そう、どんなブームが来てもそこで暮らしている生活者。

同じく生活者であるピア連系店の美容師さんと、サポーターの看護師さんとの雑談はまさにその生活者のお話でした。どんなブームがやってきても札幌は札幌なのです。

実り多い札幌出張でした。
課題もいただいてきたので、また近々改善提案に参ります。


2015年11月25日水曜日

生活をガラッと良くしてこそイノベーション

イノベーションは3つの要素から。

1)筋の良い技術
2)それが市場に開放されている(販売されたり使用されたり)
3)それによりガラッと社会が変わって人間の生活が良くなる

そう、イノベーティブな技術だけでは、ちょっと足りない。
それがどうやって日常生活を変えるのか。

たとえばクレジットカードやICカード。
今は当たり前だけど、あれが日常をガラッと変えた感じ。

なかった時は創造もしていないような状況があたりまえになること。
これがイノベーション。

うーん、ワクワクする未来は、まだまだ作れそう!


2015年11月23日月曜日

日本の現場管理能力はすごい。工事中も美しい高速道路。

まもなく開通する新東名高速道路を、開通前に走ることが出来る「ハイウエイマラソン」に参加してきました。
愛知県岡崎市と豊田市のあたりを通る高速道路の、岡崎ICあたりをぐるっと走るコースです。

山の中、ほぼフラットな道路がずーっとつながっていて、マラソン初心者にも優しいコースでした。


真下で止まってこの看板を見る機会なんてもう無いです。よく見ると結構大きくて、少し傾斜しています。ライトがあたって運転手から見やすくなっているらしいです。










山の斜面を土留めしたアンカーボルトも触れました。





ランプウエイはウォーキングコースになっていました。
写真ではわかりにくいですが、コーナーは傾斜していたのだと歩いて納得。


このマラソンで工事中の高速道路を見て、走って、触って、日本の土木技術のすごさを実感しました。
技術的な細かいことは専門外なので評価できませんが、とにかく感動したのが以下3点。

1)ちゃんと工事されている
(中国の田舎の方に行くと工事中の道路の端っこの方に穴が開いていたり塀が無かったりする。)

2)現場が綺麗
(新興国の工事現場はゴミや廃材が散らばっていたり、周りに泥が飛び散ったままになっていることが多い。工事関係車両や重機もきちんと整列している。)

3)工事関係者のヘルメットがちゃんと「ヘルメット」
(中国の工事関係者のヘルメットはおもちゃみたいなものをちょいっとかけている程度)

中国、マレーシア、シンガポールの3国しかわかりませんが、それに比べて日本人の現場管理能力は本当に高いと私は思います。工場も現場も事務業務も、とにかく管理力が平均的に高いです。その代わり、やりすぎで管理することが目的になることが弱み。柔軟に変わることが苦手。

安定が求められる工程管理において、管理をすることは絶対大事なことです。同じクオリティを出し続けられるのも日本の強み。この管理力を柔軟に変化させていければ、まだまだ日本は戦えるはずです。



マラソンイベント会場には、トヨタの水素カー「みらい」の実車も展示されていました。囲いもなく、ガードマンもおらず、ほぼノーガードで高級カーが置かれています。さすが豊田市太っ腹。
興味津々で覗いて触って、ゆっくり「みらい」も堪能。


このゼッケンの裏にはICタグがついていて、ゴールと同時に完走証明書が発行されました。ハイテクマラソンでした。






2015年11月14日土曜日

みかん農家さんが考える、TPPとオレンジとみかんの話が面白い

「だいたい、オレンジジュースとみかんは違うよ」

みかん農家の友人が何気なくいったこの一言で、農業へのTPP影響論議に私が感じていた気持ち悪さの原因が一つわかりました。

そうですよ、オレンジ色で果汁系ですが、ぜんぜん違うよね。
みかんジュースと皮を剥くみかんが満たしている顧客ニーズは違います。
和名みかん、英語名オレンジ、として同じ種類で、生産量をひとまとめにして生産総量を評価することはできますが、剥いて食べるみかん・絞るオレンジ・切って食べるオレンジ・といった質的違いは数字評価が難しい。

TPPtrans pacific partnership)への参加で日本の農業がどう変わるのか、その影響度についての新聞記事は影響度について「影響あり」「限定的に影響あり」「影響は殆ど無い」といった、評価しやすい量的な記載でした。

量的評価は、1-2-3-4-5といった数字でも表せる指標です。
少ない/多い
小さい/大きい

量的評価(みかん系の流通量など、数字で計れる)で語られがちなTPP参加影響ですが、これに質的評価(品種や味、地域の嗜好、マーケット特性、特定マーケット向けの商品とか、とにかく数字で測りにくいもの)を加味してくれないから、消費者としては気持ち悪い感じがしていたのだ、と気づいたのです。さすがみかん農家、みかんと周辺領域のことをよくわかっておられる。

質的評価については数字に表せないので、評価軸を作る人の感性でパターンは無限大になるのです。このパターン出しはセンスを問われます。TPP影響話をするときは、流通量とマーケットカテゴリーの話になるので、売れるものを作れるマーケターのセンスある人に指標を作ってもらいたいです。これはあくまで個人的願望ですが。

質的評価には、産地の違い、さらにその産地内の農家さんが狙うマーケットの違い、販路による違いもあります。直接、市場(仲買人)に出しているのか、JAか、直売か、によっても作る作物品質が違うはずです。それを全部まとめて「かぼちゃ」「なす」「茶葉」など、品種ごとの全体影響を計るのは腑に落ちず、私はコレがとても不思議でした。

モノづくりの大原則の、どのマーケット向け商品かが語られず、種類のみで語られている。おかしい。

それに対する支援策や強化策も、「コメ」「ジャガイモ」「肉」という、種類のみで語られていますが、
本当は種類と品質(マーケットランク)でわけてあげたほうがリアルな市場に近づくはずです。

☆このようなイメージ

種類 |コメ|ジャガイモ|肉   ←量(種類)の横枠
品質上|  |      |    
品質中|  |      |    
品質下|  |      |    
↑質の縦枠





もちろん、本当はそこまで精査されて制度論議されている(と信じたい)はずですが、新聞などの情報しか見ていなかった私には、とにかく気持ち悪かったのです。
議論に質の軸が無いから気持ち悪かったのかと気づいて、ちょっとすっきりしました。

結論、みかんはオレンジとは違う。

(ちなみに、影響のある野菜についても話しました。それはそれですごく納得しました)


2015年11月13日金曜日

普通であることが価値(普通という高付加価値)

脱毛症や抗がん剤治療などで髪が抜けている間に使うウィッグ(かつら)を作っています。

この領域で商品品質と同じくらい大事なことは、使う人の気持ちに沿うかどうか。
使い始めの時期の不安、使っている間の不安は、きっとみなさんの想像以上です。

ここでのお客さまのニーズは、それを使って「普通に暮らせるか」ということ。

この場合の普通は、そこにストレスを感じる事が少ない状態。
脱毛やウイッグにストレスを感じにくい状態で、気にしなくていいような気持ちになるかどうか。

使う時期の状況を考えると、がん治療で人生かわっちゃうような危機とか、脱毛症で髪がどんどん抜けて、この先どうなるのかと落ち込む時期です。

今までの普通が、普通じゃなくなる時期。
その時期の気持ちに寄り添い、具体的に脱毛の憂鬱も解消する。

「気持ち×具体策=解決」

どちらかだけでは、うまくいかないです。




お客さまのウィッグです。ちょっと前髪短め、ショートボブ、まとまりストン系。

ヘアスタイルブックには載らない定番すぎるスタイルですが、それが普通ということです。

ふわっとしたり、ヘアアイロンでアレンジしたり、必要ならばいろいろできます。でも、基本は普通。

お客さまの求める価値が普通であることの時は、普通を全力で作る。これも立派な差別化です。

2015年11月11日水曜日

現場の空気感に嘘はない。いい提案は、現場に足を運んで話すことから。

先月、八王子にある取引先を訪問した時のことです。

約束の時間に伺ったのですが、ちょうどお客さまと重なり、ちょっと時間つぶしに周辺をふらっとお散歩しました。

近所の公園のベンチに座って空を眺めていたら、あっという間に10分くらい経っていました。ほんの10分ですが、事務仕事をしているとこの時間に外を歩くこともなく追われている時間帯。贅沢な時間です。

風の強い日で、空を見ると雲ひとつありませんでした。

その後、お店に戻って取引先オーナーと話を詰めて、2年分のブリーフィングをして気持ちを揃えました。

足を運んで、実際に相手の現場で話し、相手の現場を大事にする気持ちを聞くことは、一見非効率に見えますが大事なことです。その想いをよく感じて、ベクトルの方向性が同じことを確認し、その力を最大限活かすものづくりとサービスづくりにPRODはどう貢献できるのか。その提案は何なのか。

現場の空気感には、嘘がありません。
その時に来店していたお客さまのホッとした顔に嘘はないのです。

相手の仕事の邪魔をしてはいけませんが、少しだけ時間をもらって話すのは重要な事です。美容室の場合、大体10分で1000円くらいの利益単価です。その時間をもらう勇気をもって話しに行きます。そして、お金以上の価値を生む提案をお持ちする。これが営業の仕事だと思っています。

何がほしいのかを言われるのを待つのではなく、私は提案型営業をしています。取引先のマーケットを共に見て、アプローチ方法を感じて、そのためのツールを提案します。パートナー企業としてリアリティある提案をするために、私は現場の空気感を感じに行っております。

新しい提案のお約束をして、この日は終了しました。
今後の展開が楽しみです。


2015年11月10日火曜日

プロボノ会議でした


東海若手起業塾のプロボノ・事務局会議でした。

東海若手起業塾では、ブラザー工業の社員ボランティアさんがプロボノとして、塾生である起業家たちに伴走しています。

グローバル企業も、社員も、変わろうとしています。
その力を活かせるか、事務局の力が問われます。

私自身、この東海若手起業塾の一期生。そして、今期はOBOG会の会長として、運営に関わっています。

東海若手起業塾
http://www.tokai-entre.jp/

2015年11月8日日曜日

犬と出勤できる会社 それは叶いました

夢は叶うか、という話の続きです。
一点、犬と一緒に働ける会社という夢は叶いました。














創業時は子犬だった彼女も、すでに16歳の老犬です。
お客さまのいない時は、自由にお店に出入りしています。
入ってすぐの、皆が通るところで一心不乱に眠る会社犬(グレー)です。

これは、「犬と働く」というわかりやすい目標で、叶うか否かだけ。
評価は、yes/noの2択。

少し前までは、スタッフ子どもの幼稚園児も出入りしていたし、自由に働ける場所が作りたかったという夢は叶いました。

難しいことも大事ですが、欲求とともに、こんな会社を作りたい!という夢も大事です。皆が許してくれれば、こんな働き方も作れます。会社のあり方は、みんなの合意がとれれば、このくらい自由でもいいはずです。



2015年11月7日土曜日

夢はその時点の自分の社会観から生まれる妄想

夢は叶うか、という話です。

個人創業から数えると13年間この仕事をしてきて、セミナーで話をすることが増えてきました。主にベンチャー支援の場が多いのですが、よく聞かれることは、創業期に今の姿を想像していたのか、ということです。

おそらく期待される答えはノーでしょう。
そして、答えもノーです。

私は創業時にこんなことを想像していませんでした。その時には、患者さんの環境と社会への憤りしかなかった。でも、今は、怒っていても何も変わらないと思うので、医療の現場が無理やり頑張っているところを見つけて、それを外側で事業化する仕組みづくりに取り組んでいます。

たとえば、患者さんへの説明を一生懸命やっている看護師さんたちがいます。
でも、それは、なにか使いやすいツールを一個つくったら、いっぺんに変わるわけではないのです。
しかし、現場を近い視点でよく見て、全体も見て、全体を変えるような杭を打つ事業を作ると、
今は奇抜すぎて見えていない仕組みでも、それが当たり前になったら常識になる。
(事前の特異性、事後の普遍性)


さて、閑話休題。
そう、13年前の時点では、環境ごとあるべき姿を見て、そこへのアプローチを細分化して、その一つとしてウィッグを作る、なんてことは考えていませんでした。
仕組みなんて見えてなかったし、知らなかったです。
その時に見えていたのは、1人の患者さんと、その後ろにいるであろう沢山の同じように困っている人たち。そして、自分自身が具体策を持たない情けなさだけです。

夢は、その時点における、自分が見えている社会の中での、現時点での自分のゴールです。

社会とは、個人の集まりです。
その社会は、自分が見えているよりも広くて、多様で、見えない部分がたくさんあります。視点は様々で、立場によって視点は変わります。視点が変われば、同じものも解釈が変わり、全く違う意見が出てくる。社会の広さと種類は、実際のフィールド数×視点の量=∞です。

その中で、自分がこうあったらいいな、と思うのが夢。夢は、不確定な社会の中で、自分が見えている部分だけで作り上げているものといえます。ですから、自分が動き続けて、見える視点が変わってくれば、当然夢も変わってきます。

夢を描くのはモチベーションを上げてくれる手段です。
でも、その夢にあまりにも固執すると、実現可能性が低くなります。視点の変化とともに、自分も柔軟に変化し、社会の中で自分がどう動くと、一番効果的なのか。

そうしていくと、自分が見てきた夢が叶うのとは違う形かもしれませんが、社会の仕組みの役に立つような仕事がつくれると思っています。




2015年11月6日金曜日

プロジェクトを動かすために、相手のフィールドに乗りこもう。

モノと仕組みがあってもうまくいかないことは多々あります。
お上からお金が降りてきて、モノと仕組みを作っても何となくぱっとしない事業。
その仕組を作っている人は楽しそうですが、それはその人の日々のタスクが楽しいだけだったりします。

その目的は何なのか。

その事業を通じて、相手を動かしたかったら、その仕組をもって相手のフィールドにのりこんで、相手の視点で、相手の立場で、一緒に働くしかない。

やってあげてる、用意してある、使って欲しい、という自分の安全基地(コンフォートゾーン)から出ないと、自分は楽です。自分が守れます。でも、それで、いいのか。

プロジェクトを動かして、相手も動かしたかったら、相手のフィールドに乗り込みましょう。

2015年11月1日日曜日

がんになったことが悪いことのように語られるのは心外。病気は罪の罰ではな い はず。

10月はピンクリボン月間でした。ピンクリボンは、乳がんについて考える啓蒙運動のシンボル。世界中で乳がんについて考えるイベントが行われます。

日本でも、タワーや建物をピンク色にライトアップしたり、各種セミナーやイベントが行われます。ここ数年は、ピンクリボンタイアップ商品が販売されたり、身近なものになってきているように感じます。

そこでもう一回、そもそもを確認。
なんのためにPRしているのか。

私が思うところ、以下3点の目的があります。
・検診や治療について、現在の乳がん診療について広く正しい情報を広めること
・乳がんについての研究をすすめること
・乳がん患者さんについて社会が正しく理解すること

乳がんになったら怖い、困る。だから検診にいこう、と闇雲にターゲット層以外も煽るのはもうやめましょう。医療も検診も、完全ではありません。

乳がん検診を受けていても、急激に大きくなるがんは、たしかにあります。
不安です。わかります。私も不安です。

でも、そんなに大切なことだからこそ、きちんと「なぜ」を考えてみませんか。

日本ではマンモグラフィによる乳がん検診を40歳からと定めています。これには根拠(エビデンス)があります。多くの患者さんのデータを研究してきて、40歳未満での検診受診にはメリットがなく、無駄に検査で放射線を浴びるだけだとわかっているからです。

もちろん40歳未満でも、乳がんは発生します。
でも、それを若いうちからマンモグラフィ検査をうけるハーム(不利益)の方が大きいのです。

40歳未満の人には、自己触診で触ってチェックすることが推奨されています。
マンモグラフィ検査を受けても、若くて母乳を作る乳腺が濃いので、がんが見つかりにくいのです。乳腺が痩せて少なくなってくる、かつ、乳がんの発症が多くなる40歳からと決められているのには、理由(エビデンス)があるのです。

ただ、これについては現在少し違う見解も有り、検診で発見しても、自分でしこりに気づくなどの症状がでてきてから治療を開始しても、生きている時間の長さと質はあまりかわらない、という発表も有ります。検診も日々情報アップデートされています。

患者さんの中には、定期的な乳がん検診や自己触診をしていても、乳がんが大きくなってから発見される方もいます。そのときに、乳がん検診を受けていたのに、と本人が落胆したり怒りを感じるのは、避けられない正直な気持ちです。そのぶつける先もなくて、思うことを口に出したり書き込んだり、医療者にぶつけるのは、仕方ないと思います。本当に気持ちのやりどころがないこともあります。

実際のところ、がん検診は完全ではないし、私たちの身体は日々がんを作り続けています。がんになることは、さけられないことなのです。
でも、その時に、がんになるような生活をしていたとか、身体を温めていればよかったのに、など、がんになった人が悪いと受け取れる情報が流れていますが、そんなことはありません。

たとえば、がんになりやすい生活というのは、沢山の人達の生活データを長い間蓄積して、それを分析して、こういう生活をしていた人たちにがんの発生率が高い、と統計上だしたものです。たしかに傾向ではありますが、それだけではないのです。もっと大きなことなのです。

どうぞ、これを機にがんと生きることについて考えてみてください。
がんになったら、この世の終わりで、もうあとは治療と生きて自由なし、なんていうことはありません。人は年齢とともに病気になりやすくなります。それががんなのか、内蔵なのか、足腰なのか、それはわかりません。みんな同じです。

がんになった人は、何かの罪を犯し、その罰でがんになったわけではありません。
衝撃的な話題として語るマスコミや、SNSでキャッチーな意見を書く方、根拠の少ない代替療法について語る方、みなさんは、その意見をなんの目的で書いているのですか。私にはわかりません。

これからの患者さんと、医療を取り巻く環境をもっと良くしようと思いませんか。
少し俯瞰して、その意見はなんのためか、自分の影響力を考えてみてください。

毎年10月が少し憂鬱です。
有名人が乳がんになってその特集が組まれる度に、また目的意識の薄いPRが始まったと憂鬱になります。振り回されるのは、患者さん、医療者、周りの人、この騒動はどんどん加速している用に感じます。

ここらへんで一回、そもそもなんだったっけ?と考えてみる時期だと思います。

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以下補足
乳がんについての一般情報は、こちらをご覧ください。

遺伝性乳がんについては、検診年齢が別途定められています。
遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)について

乳がんは、女性に多いがんです。乳腺という、母乳を作る腺(せん)に発生します。
病気についての詳しいことは、国立がん研究センターのこちらをご覧ください。
乳がんについて

女性だけ?と思われがちですが、男性にも乳がんは発生します。
乳がん患者全体の1%未満ですが、発生しています。