2015年9月9日水曜日

小児がんの理想の病院は家です。日本で初めての家みたいなクリニックを作っ た チャイケモから、事業のゴールイメージを描くことを考える。

神戸ポートアイランドの医療特区にあるチャイルド・ケモ・ハウス(以下チャイケモ)にいってきました。
小児がんの子どもと家族が家のような環境で療養できる、おうち診療所です。

今日のブログは、マネタイズとかサステナビリティの話を外して、人間の情緒的な感情論で書きます。
ですから、他のポストとは全く整合性がないかもしれません。あり方とかそんなことはどうでもいいと思うくらい、みんなの頭のなかの「創業あるべき論」をまっさらにして、考えて欲しい「事業のゴールイメージ論」です。
自戒を込めて、あえて書きます。

ポートアイランドの一角にあるチャイケモ。小児科の有床診療所です。

プレイルームの一部。プロジェクターでシアタールームに変身します。
小さい個室のリビング部分です。
小さいと言っても十分な広さです。
全ての個室にキッチンとトイレ・バス・洗濯機がついています。


個室内のプレイルーム。
写真は、ここのクリニック医師、楠木先生。

手作りのおままごとセットとお茶目な楠木先生。

施設内のすべてのスペースに大きい窓や天窓があり、自然の光がはいります。
病室的要素は、壁に酸素とナースコールがあることと、感染予防対策としてところどころガラスドアで仕切られていることくらいです。

家のような病院、良さそうでしょう。
いいんですよ。そして、すごく大事なことです。

小児がんは子ども1万人あたり1人の割合で発生します。子どもの数が増えると、患者数も増えます。現在だいたい毎年2000〜2500人くらいが小児がんを発症していて、治療を続けている子どもの数は16000人くらいいます。

2000人が発症して16000人の患児がいるということは、8年位治療が続いている計算になります。経過が長いんです。

その間も、子どもは成長して発達していきます。
この時期を、子どもと家族はこんな環境で過ごしています。

小児がん患児の実際の病床。左が患児のベッド、右が付き添いの親のベッド。
わずか2坪の空間で治療期間をすごします。カーテンの向こうは隣のベッドです。
リンク元:チャイルド・ケモ・ハウスHP
http://www.kemohouse.jp/03_kemohouse.html



信じられない。
遊びも、治療も、眠りも、時にはトイレも、日々の生活のすべてがここ。
子どもが大声で泣いたり、親と笑ったり、そんなこと、ここではできません。

感染リスクがあるので、親以外の兄弟祖父母親戚には会えません。
ずーっと、ここで、このコミュニティで、あなたの子どもを育てたいですか。

子どもは未来だ、財産だっていうならば、小児がんになった子どもたちの生活環境にも目を向けてください。
たった2万人弱かもしれない。
でもさ、日本に住む日本の未来なんですよ。

彼は、サポーターチームと一緒にこのチャイケモを作りました。
今までの医療ルールに則っていなかったので、入院施設のあるクリニック(有床診療所)として認可されず、開店休業状態の時期もあったそうです。そして、今も入院する患児は少ないそうです。

さて、ここで創業の話にもどります。

創業は、いろんな姿があります。
食べていくための手法として、儲かることをやるのも創業。これ、当然。
夢だけではチームを養えませんから。

ゴールは何ですか、と聞かれた時に、これくらい具体的にハッピーな状況を想像できれば日々のタスクなんてなんとでもなります。方法をひねりだし、後は必死で働くのみです。
大事なのは、このハッピーなあるべき姿と、だれを幸せにしたいのかを具体的に想像することです。

事業のゴールイメージを具体的に頭のなかに描く、それを表現すると、みんなが支援しやすくなります。社会的創業に欠かせないことです。

何をしたいのか、と問われて困る創業者さん、ぜひ考えてみてください。
具体的な達成イメージがあれば、あとは大丈夫。
具体的にがんばる方法を模索するのが創業支援のお仕事です。
そこは、どうぞ私たちに任せといてください。
(大きく出てみた、がんばります!)

チャイルド・ケモ・ハウス
http://www.kemohouse.jp/index.html